抄録
米国心臓学会, モノグラフ第18号に示される式 (ΔChl. =2.16ΔS-1.65ΔP+6.77ΔC-0.5) より食品中のコレステロールは血清コレステロールをかなり左右すると思われるため, 食品中のコレステロールを飽和脂酸および多不飽和脂酸と共に定量することは成人病予防食選定上重要である。動物性食品中, 日本人の主要蛋白給源である魚類の総コレステロール測定結果は次の通りであった。
(1) 全試料115種の新鮮物中のコレステロール量の最低値を示すものはマガツオ (普, 非) であったが, アラ (卵, 出) ; マサバ (内, 出) ; アユ (内, 非) ; マアナゴ (皮, 出) などの値は高くマアナゴ (内, 出) は最高であった。
(2) 部位については, 総体的に普通肉; 血合肉; 皮; しらこ; 卵および内臓の順にコレステロール量の増加を認めた。就中肉部に関してはキダイ, トラフグのように白身魚でも高い値を示すものもあったが, 小形魚における出回り期の血合肉は最も高く, 次いでその他の血合肉も高かった。皮における含量はかなり多いため, 治療食的見地からは肉部のみを用いる調理形態が好ましいと考えられた。
(3) 肉部の季節性についてはマサバを除いては出回り期が高く, マアジの場合は出回り期のうちでも, 特に産卵直後の増量が顕著であった。
(4) 魚類は特に個体差が大きいが, おいしくしかもコレステロール量が少ない魚肉部は小形魚の白身魚と認められた。
(5) 脂油中のコレステロール量について最高を示すものは内部ではトラフグ (出) であり, 皮部ではマアナゴ (出) であって, 白身魚と言えども出回り期において青魚より高い場合もあった。
(6) 魚肉成分中脂質量および水分量の和は約80%で, 両者間には負の相関を認めた。なお, 小形魚における出回り期の血合肉については, 含油量の高いものではコレステロール量も高い傾向があった。