抄録
(1) 白ネズミにマルチトールを大量投与すると, 下痢を起こすが日時の経過とともに適応して回復してくる。 その場合の体重増加は対照群に比して多少低下していた。 またこの場合, 小腸, 盲腸, 大腸は増大する現象がみられた。
(2) マルチトールは膵酵素ならびに小腸粘膜の酵素標本によって分解されなかった。
(3) 肝においてマルチトールを投与した場合にM1DH活性は見出されず, SDH活性も誘導されなかった。
以上の結果からマルチトールは腸管内で分解されず, また生体に利用もされない2糖類の糖アルコールであると思われる。