栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
変敗油の調理に及ぼす影響 (第40報)
水産魚肉の揚げとフライ油中のトコフェロールの分解
梶本 五郎吉田 弘美三宅 佐和子
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1971 年 24 巻 2 号 p. 59-62

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抄録

鯨肉20g, アジ50g/匹をそれぞれ100gを1組とし, 計2,000gを180℃で2分間, 大豆油で揚げ, その揚げの回数と揚げ物よりフライ油へ移行する鯨油, アジ油の量, フライ油中の不ケン化物, トコフェロール量を求めた。
(1) 揚げの回数が多くなるにしたがい, 鯨油, アジ油が次第にフライ油に移行し, 不ケン化物も増加する。逆にTcoは対照油に比べ著しく減少する。
(2) 豚脂, 鯨油およびその混合油にmixed-Tcoを0.04と0.2%になるよう添加し, 180℃で1~4時間, 加熱後のTcoを求めると, 混合油および鯨油は, 豚脂そのものに比べTcoの分解が多い。
(3) 変質度の異なる豚脂にmixed-Tcoを0.2%ずつ添加し, 180℃で, 1~4時間加熱後のTco量は, 変質度の高い豚脂ほどTcoの分解が多い。終りに臨み, 貴重な試料を提供していただいたェーザイ株式会社ならびに植田製油株式会社に厚く御礼申し上げます。

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