栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
リノール酸の自動酸化に対するメチオニンおよびその関連化合物の抗酸化作用
名武 昌人
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1971 年 24 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

メチオニンおよびその関連化合物の抗酸化能を比較検討し, メチオニンの抗酸化機講を明らかにせんとし次の結果をえた。
(1) メチオニンはトリプトファンに近い抗酸化能を示しその抗酸化力は濃度が増大する程増加し, pH6~9の範囲で事実上効力に大きな変動は認められなかった。
(2) メチオニンの遊離カルボキシル基あるいは遊離アミノ基の何れかをマスクしても抗酸化力には大きな変化は68認められなかったが, 両基をともにマスクすると抗酸化力は著しく低下した。
(3) メチオニンのメチルメルカプト基が酸化されたり, 除かれたりすると抗酸化力が明らかに低下したので, メチオニンの抗酸化能はメチルメルカプト基に起因する所が大きく, ほかに構造的な因子としてカルボキシル基あるいはアミノ基の何れかが遊離状態にあることが望ましいと考えられる結果をえた。
(4) リノール酸の自動酸化過程においてメチオニンは速やかにメチオニンスルフォキシドに酸化された。
以上の事実からメチオニンの抗酸化作用機構について推論した。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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