栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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非必須アミノ酸単独添加が成長と血漿アミノ酸濃度におよぼす影響
桐山 修八市原 百合子吉田 昭
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1971 年 24 巻 6 号 p. 336-344

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抄録

アミノ酸混合食中の非必須アミノ酸を等窒素量のクエン酸ニアンモニウム塩 (DAC) で完全に置換した飼料 (DAC飼料) に各非必須アミノ酸を対照飼料中と同量だけ単独添加したとき, シロネズミの成長がDAC飼料時より改善されるかどうかを調べた。飼料のアミノ酸組成はRama Raoのパタンにしたがったが飼料中の含量はその80%に抑えた。その結果は次の通りであった。
(1) DAC飼料で常にみられる初期の成長阻害は, グリシン, グルタミン酸, アラニン, セリン, アスパラギン酸, プロリンのいずれの添加によっても克服できなかったが, 前三者の7日間の体重増加量は対照群と同程度であった。同種の3回の実験を通じてグリシン, アラニン添加時に体重増加量は少し改善されるようであった。
(2) 肝グルタミン酸脱水素酵素の活性は対照群とDAC群の間で全く差はみられなかった。
(3) 血漿中の遊離アミノ酸濃度を測定した結果, 対照群に比してDAC群では常にアラニン, グリシン, セリン濃度が顕著に低下していた。
DAC飼料にグリシン, セリン, アラニン, グルタミン酸を添加したときでも血漿中のセリン, グリシン, アラニン濃度は常に低下した。ただしグルタミン酸添加時だけは血漿アラニンの低下がみられなかった。
DAC飼料あるいは各NEAA添加飼料時には血漿遊離スレオニンも常に低下し, 一方, リジンは増加する傾向がみとめられた。
(4) DAC飼料およびグリシン添加飼料投与時の窒素出納をしらべたところ, 飼料を切り換えて1日目の窒素出納値は両者とも対照群より有意に低く, ほぼ平衡状態であったが, 急速に回復して, 2日以後は対照群との差はなくなった。
(5) あらかじめ, 60%カゼイン飼料で1週間飼育したあとでDAC飼料に切り換えると初期の成長阻害現象は少し弱まるような結果であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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