栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
妊婦貧血と栄養学的対策について
妊娠時の血液学的な特徴 (1)
白木 啓三久岡 文子
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1972 年 25 巻 2 号 p. 94-98

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抄録

徳島市在住の112名の妊娠7~10ヵ月婦人について, 血液性状および, 循環血液量を測定し次の結果を得た。
(1) 妊婦において循環血漿量増加に基づく血液稀釈のために, 末梢血血液性状の濃度のみでは, 真の貧血は判定し難い。しかしヘモグロビン濃度は貧血判定の最も簡便かつ有用な判定方法となる。
(2) 妊婦のヘモグロビン濃度の正常値の下限界は10.0g/dlであり, これ以下のものを日本人妊婦の貧血と判定するのが合理的である。
(3) 妊婦の血球性状の特徴は正色素性, 正細胞性である。
(4) 妊婦のためのこの基準に基づいて判定すると, 今回の対象者の内16.9%が貧血者であり, 農村婦人より有意に高率であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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