栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
梅・桃および桜桃ペクチンの性状とそのゼリー特性について
木原 芳次郎川端 晶子百瀬 晴子澤山 茂
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1972 年 25 巻 2 号 p. 99-104

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抄録
以上の結果を要約すると, 次のようである。
1) 梅, 桃および桜桃のペクチンの含有量は, 無水ガラクチュロン酸としてのtotal含有量で, 除核した新鮮果肉に対し, 梅0.33%, 桃0.35%, 桜桃0.42%で抽出区分の比率では, 梅はH-S区が60.9%をしめ, 桃はW-S区が74.3%でもっとも高く, 桜桃ではP-S区が42.9%つづいてH-S区が40.4%をしめている。
2) 分離調製したペクチン質の化学的性状について特に無水ガラクチュロン酸の含有量は, 梅ペクチン55.46%, 桃ペクチン46.42%, 桜桃ペクチン54.25%で, メトキシル基含有量は, 梅ペクチン5.21%, 桃ペクチン5.44%, 桜桃ペクチン5.00%で, いずれも市販ペクチンの含有量 (6.10%) に前後し, 高メトキシルペクチン-糖-酸-水系によるゲル形成の条件の範ちゅうに入り得る性状をそなえているペクチンだということができる。
3) Okada gelometerおよびCurdmeterによるペクチンゼリーの特性については, 梅ペクチンゼリーは, 総体的に市販ペクチンゼリーには及ばないが, ゼリー強度が大で, 硬く, 破断力も大きく, 桃および桜桃ペクチンゼリーは, いずれも柔らかく, 粘稠性の大きいゼリー特性を有することが認められた。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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