栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
野菜のアントシアン含量と2, 3の栄養素含量との関係
馬場 敦子
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1972 年 25 巻 8 号 p. 647-651

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抄録
カキチシャ, アオタカナ, フキ, シソ, キャベツ, タマネギを材料として, Antc. による着色の程度と糖, AsA, タンニン, アルカリ度などとの関係を実験的に検討した結果, 次のような関係が認められた。
1) 同種の野菜ではAntc. 含量はいずれも赤色部位または赤品種に高い。Chl. 含量はカキチシャ, アオタカナなどでは赤色部位に高く, シソ, キャベツなどでは緑品種に高い。異種間の比較ではAntc. 含量は赤シソ, 赤キャベツに, Chl. 含量はシソやアオタカナにとくに高い。
2) 同種の野菜では赤色部位または赤品種にはAsAおよびタンニン含量, アルカリ度が高い傾向が強い。糖含量は色調との間に一律の関係はみられず, 葉菜類の葉では赤色部位または赤品種にショ糖含量が高く, 還元糖は逆に低いという結果が, またタマネギのりん茎ではこれとまったく逆の関係が得られ, フキの茎では両部位の含量に差はみられなかった。
3) 異種間では各野菜の種特異性が強く, 着色の程度と各成分含量との間の関係は少ない。すなわち糖はタマネギ, キャベツに, AsAはアオタカナに, タンニンはシソ, フキに, アルカリ度はシソ, カキチシャ, アオタカナなどに高かった。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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