栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
L-アスコルビン酸によるペプシンの酸化分解について
守 康則加納 三千子
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1973 年 26 巻 6 号 p. 359-364

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抄録

L-アスコルビン酸およびL-アスコルビン酸-H2O2系によるペプシン活性の阻害をペプシンの構造変化より検討し, 次の結果を得た。
1) アスコルビン酸, アスコルビン酸-H2O2系はペプシンを酸化分解し, ペプシン溶液のわずかな粘度低下がみられる。
2) アスコルビン酸, アスコルビン酸-H2O2系処理ペプシンのセファディクスG-25およびG-100によるゲルろ過パターンよりみて, ペプシンはアスコルビン酸, アスコルビン酸-H2O2系により分解され, トリクロル酢酸可溶性のペプチドおよびアミノ酸を主体とする低分子フラグメントの生成が認められる。
これらの結果より, ペプシンはアスコルビン酸の酸化にともない, ペプチド結合が開裂し, 分解を起こし, ペプチドおよび遊離アミノ酸を生成するものと考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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