ショウガ汁中のたん白分解酵素を抽出精製し, 単一標品として得, 若干の酵素化学的諸検討を行なった。ショウガ汁中には, 塩析, セファデックスG-100ゲルろ過では同じ動態を示すが, イオン交換クロマトグラフィー, 電気泳動的に動態を異にする2種のSHプロテアーゼの存在を見いだし, GP I, GP IIと略称した。両者は分子量は同じ22, 500であり, ともに活性にSH化合物を必須とする。至適pH, SH化合物による活性化, 重金属イオン, SH試薬による阻害程度はともに類似している。しかしSH化合物の活性化は, GP IのほうがGP IIより大きく, また金属イオンのうちAg+, Ni++の阻害はGP Iのほうが大きい点若干異なるが, 両者は, isoenzymeの可能性が考えられる。ショウガ汁の肉軟化効果は, このプロテアーゼによるたん白分解酵素活性と関連があると考えられる。