栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
納豆の白色析出物の化学的組成
田中 米實冨安 行雄
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1973 年 26 巻 8 号 p. 473-478

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抄録

保存した納豆に白色析出物が生ずることは一般に知られている。 この物質を究明するため, 純粋納豆菌を用いて製造した納豆および市販納豆を一定期間保存して白色析出物を出現せしめてこれを分別し, 0.3規定塩酸に溶解した後水酸化アンモニウムで中和し, pH 5.0およびpH 9.2で析出する結晶物を追及して次の結果を得た。
1) pH 5.0で分離した物質はペーパークロマトグラフィー, 紫外線吸収スペクトログラフィーおよび元素分析の結果からチロシンであると同定した。
2) pH 9.2で分離した物質は, リン, マグネシウム, およびアンモニウムから成る化合物であることを認め, これらを定量した結果ストラバイトであると確認した。
3) 白色析出物中のチロシンとストラバイトとの含有量の割合は約1: 2.89であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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