抄録
卵アルブミンとリノール酸エチル (2: 1, w/w) からなるモデル系 (50℃, RH80.4%) を設定し, 脂質の酸化にともなう卵アルブミンの栄養価の変化を調べた。
たん白質の褐変度は, 反応日数とともに増加した。 逆に有効性リジン量は減少し, 7日目で半減した。 両者の増減の間には, 高い相関関係 (γ=-0.977) が認められた。 ペプシンによる消化率も顕著に低下した。 アミノ酸分析の結果, ヒスチジンとリジンの損傷が著しく, アルギニンおよび含硫アミノ酸でも損傷が認められた。
7日間反応させた卵アルブミンの幼若白ネズミでの生物価は, 未反応の卵アルブミンと比較し約20%低下し, 真の消化率も約10%低下していた。
これらの変化は, カゼイン・リノール酸エチルの場合と比べかなり著しく, 卵アルブミンは, 酸化脂質により損傷を受けやすいたん白質であることが認められた。