栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
動物肝グリオキサラーゼ系におよぼすレダクトン類の影響
飯尾 雅嘉岡部 公一大村 浩久
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1975 年 28 巻 5 号 p. 271-275

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抄録

ウシおよびマウス肝臓より粗グリオキサラーゼ系を抽出し, メチルグリオキサール, グルタチオンを基質として酵素反応を行ない, 種々のレダクトンおよびその類縁化合物の影響を観察した。その結果
1) 2種の起源の酵素系いずれについても, 芳香族レダクトンであるポリフェノールのうち2個の水酸基が互いにオルト位にあるものの阻害効果が大きかった。メタ位にあるものでは中程度の阻害が見られ, パラ位にあるものではほとんど阻害を示さなかった。
2) カテコール誘導体については, 水酸基に対して4位にある置換基の相違によって阻害効果が異なり, 極性基の導入によって阻害力が低下する傾向が観察された。
3)p-ベンゾキノンも強い阻害効果を示したが, その作用機構はポリフェノールとは異なり, グルタチオンとの反応にあることが紫外スペクトル, ペーパークロマトグラフィーの結果から示唆された。
4) アスコルビン酸などの非芳香族レダクトンは, 阻害効果を示さなかった。
5) 2座配位子であるシュウ酸, フタル酸にも阻害作用は観察されなかった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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