抄録
乳牛の硝酸塩中毒症と関連して, 血中硝酸, 亜硝酸が乳汁中に移行することが考えられるので, 牛乳・乳製品中の硝酸, 亜硝酸をカドミウム・カラム還元法によって測定した。なお参考として, 人乳についても行なった。
1) カドミウム・カラム還元法による牛乳・乳製品中のNO3-Nの回収率, 再現性は良好で精度よく定量できる。
2) 硝酸イオンメーターによる牛乳中の硝酸イオン測定は, 妨害イオンである塩素を完全に除去しなければならないので, 実際上応用は困難である。
3) 牛乳150試料のNO3-N含量は, ほとんど0.5ppm以下, 粉乳では1.0~3.5μg/gで, いまのところ牧草中のNO3-N含量たNO2-Nとの関係は認められなかった。またNO2-Nは, ほとんど検出されなかった。一方, 人乳中のNO3-Nは1~5ppmで, 牛乳に比較してかなり高かった。