抄録
穀類を唯一のたん白質源とした飼料にリジン, スレオニンを添加し, 2週間白ネズミを飼育し, 肝臓脂質含量と血漿中遊離スレオニン濃度との関係について検討した。
白米, 小麦粉, 大麦, オートミルを唯一のたん白質源とし, たん白質含量6.2%または7%飼料で飼育した白ネズミの肝臓脂質量は乾物当たり14%以下であるのに対し, これらの飼料に0.25%リジン添加飼料で飼育した白ネズミの肝臓脂質量は20%以上となり, 肝臓に異常な脂質の蓄積がみられた。
このような肝臓に脂肪が蓄積した白ネズミの血漿中遊離スレオニン濃度は著しく低下し, 7μmoles/dl以下であった。
0.25%リジン添加小麦粉飼料に0.10%, 0.15%, 0.20%スレオニン添加で, 肝臓脂質の異常な増加は見られず11~13%であった。また, 血漿中遊離スレオニン濃度も上昇した。
以上の実験結果から, 肝臓脂質含量と血漿中遊離スレオニン濃度との関連性がみられた。