抄録
ぶどう酒をアルカリ性でエーテル処理して不純物を除いたのち, 酸性でエーテルによりソルビン酸, デヒドロ酢酸および安息香酸を抽出し, 蒸発・乾固したのち, アセトンに溶かし, 水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ (2% DEGS+0.5%リン酸カラム装着) に注入して, ソルビン酸の定量およびデヒドロ酢酸と安息香酸の検出を同時に行なう方法を開発した。ガスクロマトグラフィーの内部標準物質としてはp-トルイル酸の使用が好適であった。
0.1g/kgのソルビン酸の添加による回収率は, ほぼ100%であった。3者保存料の検出感度は, いずれも0.005g/kgであった。輸入ぶどう酒16検体中3検体からソルビン酸が定量されたが, その量はいずれも基準値 (0.2g/kg以下) の範囲であった。デヒドロ酢酸および安息香酸は, いずれの検体からも検出されなかった。