栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
POVよりみた各種香辛料粉末の抗酸化性
香辛料の抗酸化性に関する研究 (第2報)
斉藤 浩木村 雄吉坂本 知紀
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1976 年 29 巻 7 号 p. 404-408

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抄録

1. 27種の香辛料の中から抗酸化効果のあるものを見出すために, Lea法の改良法によりそれらのPOVを測定し, BHAおよびトコフェロールの抗酸化効果と比較した。
2. 香辛料の粉末を0.1%の濃度でラードに添加した場合, 強い抗酸化効果を示すものから, ほとんど効果を示さないものまで, 香辛料の品種により異なることがわかった。
3. 香草系香辛料 (ハーブ・スパイス) に属する香辛料は, 一般に抗酸化効果を示すものが多く, なかでもシソ科に属するセージ, ローズマリー, タイム, マジョラム, オレガノなどは, 強い抗酸化効果を示した。クローブとジンジャーを除く香辛系香辛料 (スパイシー・スパイス) は, 概して抗酸化効果を示すものが少なく, またメースを除く種子系香辛料 (シード・スパイス) には, 抗酸化効果を示すものがほとんどないことが明らかとなった。
4. 香辛料中に存在するトコフェロールの含有量は, きわめて少なく, 香辛料を粉末の状態で0.1%程度の添加濃度では, 当該香辛料の抗酸化効果に影響を与えるほどではないことがわかった。
5. 最も顕著な抗酸化効果を示した香辛料は, セージ, ローズマリー, メースであり, BHA 0.1%添加の場合に匹敵する効果を示した。ついでタイム, クローブ, マジョラムは, BHA 0.02%添加の場合と同等の効果を示し, オレガノ, ジンジャーはトコフェロール0.1%添加の場合以上の抗酸化効果を示した。
以上の結果から, 粉末の状態で強い抗酸化効果を示す香辛料として, セージ, ローズマリー, メース, タィム, クローブ, マジョラム, オレガノ, ジンジャーの8種類が選定された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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