栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
藍藻タンパク質の抽出とその栄養価
満田 久輝樋口 雅子山本 愛二郎中島 謙二
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1977 年 30 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

無機液体培地で培養された藍藻Nostoc muscorumの乾燥藻体を用いて, タンパク質の各種抽出方法の検討およびその栄養学的評価を行なった。
(1) 本藻体は, タンパク質含量が67.1%ときわめて高く, 可溶化が比較的容易であり, 0.4% NaOHのみでも高いタンパク質抽出効率が示されたが, エタノールおよび超音波処理による前処理の併用により, 抽出率はさらに上昇した。
(2) アルカリ抽出により, ムコ多糖類などが同時に抽出され, 抽出タンパク質の純度は約75%であった。また, 藍藻に特徴的なフィコビリンに由来する着色が認めちれた。
(3) 本藻体および抽出タンパク質の必須アミノ酸組成は, リジンを除いては, FAO/WHOにより1973年に提唱された新アミノ酸パターンによく類似しており, E/T比の面からも優れたタンパク質と判定できる。抽出タンパク質の第1制限アミノ酸はリジンであり, 卵価: 76, アミノ酸価: 79であった。
(4) ペプシン, トリプシンによる人工消化実験の結果, 本藻体はクロレラ藻体に比し, はるかに良好な消化性を示した。また, 本藻体抽出タンパク質の場合はさらに良好な結果が得られ, 特に消化速度においてはカゼインの結果にごく近似した値が得られた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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