栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
飼料の消化吸収率およびたん白質の生物価に対する消化管内細菌叢の影響
岩淵 明高橋 徳太郎務台 方彦神立 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 30 巻 3 号 p. 141-148

詳細
抄録

成熟したFischer系の通常化白ネズミと糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミおよび無菌白ネズミを用いて, カゼイン8%飼料の消化吸収率とたん白質の生物価に対する, 消化管内細菌叢の影響を検討して, 次の結果を得た。
1) 粗たん白質の見かけの消化吸収率は, 無菌白ネズミ群が, 通常化白ネズミ群, 糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群のいずれよりも有意に低かった。通常化白ネズミ群と糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群の間には有意差がなかった。真の消化吸収率は, 通常化白ネズミ群が糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群, 無菌白ネズミ群のいずれよりも有意に高かった。糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群と無菌白ネズミ群の間には有意差がなかった。
2) 純たん白質の見かけの消化吸収率は, 3群間に有意差があり, 無菌白ネズミ群, 糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群, 通常化白ネズミ群の順位で無菌白ネズミ群が高かった。
3) 粗脂肪の見かけの消化吸収率は, 通常化白ネズミ群が, 糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群, 無菌白ネズミ群のいずれよりも低かった。糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群と無菌白ネズミ群の間には差がなかった。
4) 粗繊維および可溶性無窒素物の消化吸収率は, 通常化白ネズミ群と糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群の間には, 有意差がなかった。無菌白ネズミ群に胃毛球の形成が認められ, 胃毛球中には濾紙粉末様物質が係留されていた。
5) 無たん白飼料期における, 糞中排泄窒素量は, 無菌白ネズミ群が, 通常化白ネズミ群および糞便細菌叢菌種の少ない白ネズミ群より有意に多く, 尿中排泄窒素量は, 無菌白ネズミ群が他の2群のいずれよりも有意に少なかった。
6) たん白質の生物価は, 3群の間に有意差がなかった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
次の記事
feedback
Top