栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ペクチン溶液の粘度挙動
川端 晶子澤山 茂名古屋 知之
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1977 年 30 巻 3 号 p. 149-154

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抄録

二重円筒形回転粘度計を用い, ペクチン溶液の粘度におよぼすpHの影響, 粘度の経時的変化および, 速度勾配, 濃度ならびに, 温度依存性を検討し, 次のような結果を得た。
1) 高メトキシルペクチン溶液の粘度はpH 6に最大値があるが, 低メトキシルペクチンではpH 3.2~6において大きな変化を示さなかった。また, ペクチン溶液の3週間の貯蔵試験において, -30℃で貯蔵したものは, 凍結, 解凍による粘度低下はほとんど見られなかったが, 20℃貯蔵のものでは20~25%の粘度低下が認められた。
2) ずり速度5×10°~3×103sec-1におけるペクチン溶液粘度の速度勾配依存性は, いずれも, 速度勾配が小さいほど, 粘度が大きくなるという典型的な構造粘性を示した。
3) 濃度依存性について, 0.1~2%のペクチン溶液の還元粘度ηsp/cと, 濃度cとの関係において, 0.2~0.4%に還元粘度の最小値があり, さらに, 濃度の減少とともに, 還元粘度は急激に増大した。そこで, 添加塩の濃度による影響をしらべたところ, 典型的な高分子電解質の曲線群が認められた。
4) 0.5~2%の各ペクチン溶液について, 10~90℃の温度領域で粘度を測定し, 温度依存性をしらべるとともに, みかけの活性化エネルギーを求めたところ, 低温度領域では2.8~5.4kcal/mol, 高温度領域では1.7~4.3kcal/molであった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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