1977 年 30 巻 5 号 p. 275-281
本研究では食餌トコフェロール (Toc) がラットの肝臓および血漿脂質におよぼす影響を飼料中の糖質の種類 (グルコース, シュークロースあるいはフラクトース) を変えて調べた。ウィスター系の雌雄ラットを自由摂食で2週間飼育した。dl-α-トコフェリル酢酸を実験条件に応じて, 異なった3つのレベル (A, BおよびC群) で飼料に添加した。
1) 血漿のコレステロールおよびトリグリセリドレベルは食餌Tocを増すことによって必らずしも低下しなかった。フラクトース食実験の一部では, Toc量の増加につれて肝臓トリグリセリドの蓄積が抑えられた。
2) 食餌糖質にシュークロースあるいはフラクトースを用いた実験のほとんどで, Toc補足によって肝臓のアラキドン酸の占める割合が, 他の高度不飽和脂肪酸におけるよりも顕著に変化した。
3) 食餌Tocによる血漿および肝臓脂質の変化はフラクトース群で最も著明であった。
4) 以上の結果から, 血漿と肝臓脂質におよぼすTocの効果は食餌中の糖質や他の成分あるいは実験動物の体重や性差によって異なることが明らかである。