抄録
1) コーンオイル, 牛脂投与群においてともに脂肪肝を認めた。この脂肪肝の発現には, 投与した食餌の脂肪酸パターンのちがい (不飽和, 飽和脂肪酸のちがい) というよりは, 投与脂肪量が関与しているのではないかと思われる。
2) 40%コーンオイルの12週間投与では, 血清GPTが上昇し, 軽度の肝障害を認めた。牛脂の12週間投与では血清GPTに変動を認めなかった。
3) 肝の過酸化脂質は, 対照群にくらべ, コーンオイル, 牛脂群でともに, 有意に上昇していた。しかもコーンオイル投与群で一番高い値をえた。
4) コーンオイル投与ラット肝の光顕所見では, 大小不同の脂肪滴が観察されたのに対し, 牛脂投与群の脂肪滴は一般に微細であった。
5) コーンオイル投与群における軽度の肝障害の原因の一つとしては, 過酸化脂質の上昇, 巨大な脂肪滴の異常な蓄積ということがらが関与しているのではないかと推測する。