本研究によってえられた結果は, 以下のごとくまとめられる。
1) 調査期間を延長することによってえられる集団の平均値の変動はどの栄養素でも小さくなる。
2) その際, 栄養素によって変動の縮小に差があり, たとえばカルシウムは縮小が著しく, 変動係数は約1/10の大きさになるが, 脂質では, 約1/3になるにすぎない。
3) 調査期間を7日にすることによって, 30日の記録からえられた集団の平均値とえられた平均値とのへだたりは小さくなる。
4) 個人の1日あたり平均値を事前に作成し, それを用いて集団の平均値, 不偏分散をもとめ, 母平均の区間推定を行なってみると, その区間内に30日の集団の平均値が含まれる頻度はカルシウムで90%以上, エネルギーで80%前後, たん白質・鉄で60~70%であるが, 他の栄養素では50%に満たない。