栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
市販スパイスの細菌汚染, とくにBacillus属について
上田 成子桑原 祥浩
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1978 年 31 巻 5 号 p. 469-473

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抄録

市販スパイス (8種類, 39検体) のBacillusの汚染状況について検索を行なった。その結果は以下のとおりであった。
1) 好気性一般細菌数は, 全サンプルについて, 103-107/gの汚染であった。このうちとくにblack pepperは, 11例中3例に106/g以上という高度の汚染を示した。また芽胞汚染状況は, 生菌数の場合と同様の傾向を示した。
2) 好気性の分離菌株中Gram陽性芽胞形成桿菌 (Bacillus属) は90%を占め, その他, Gram陰性桿菌6.5%, Gram陽性球菌3.5%が検出された。
3) 分離されたBacillus (497株) の構成菌種は, 351株 (70.6%) がB. subtilisであり, B. pumilusが66株 (13.3%), B. licheniformis 30株 (6.0%) であった. その他, B. coagulans, B. cereus, B. megaterium, その他6種のBacillusがわずかながら検出された。しかしスパイス間に構成菌種の差が見られた。
4) 分離菌株優勢を示したB. subtilis, B. lichniformis, B. pumilusの生物性状検索の結果は, Bergey's manualとほぼ一致していた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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