栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
生活環境別に見た幼児栄養の5年間の推移について
岡田 玲子
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1979 年 32 巻 3 号 p. 191-200

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抄録

1968年~1977年にかけて新潟県内の山・農・漁村および都市近郊における幼児の5年間の栄養摂取状況の推移について調査し, 以下の結果を得た。
1) 食品摂取パターンはおおむね基準量パターンに接近し, とくに山・漁村のそれが顕著であった。4地域共通して肉・油脂類, その他の野菜の増加および菓子類の減少と, 依然として緑黄色野菜, 乳類および穀類の摂取不足が観察された。
2) 栄養素摂取状況の5年間における推移は比較的小さく, また各栄養素の増減について4地域共通の現象はみられなかったが, 平均的な栄養水準は概して所要量に接近する, よりよい方向に推移した。
3) 栄養素摂取上の個人差はエネルギーおよび糖質においてやや小さく, 発育期にとくに必須の栄養素においておおむねやや大であった。また, 各栄養素の適量摂取児は概して山・農村に増加傾向がみられ, 多量摂取児は都市近郊次いで漁村に比較的多くみられ, 一方, 摂取不足児はおおむね減少傾向を示していた。
4) 都市近郊では動物性たん白質と脂質が多量摂取され, 不足の栄養素はV. B2のみであり, 漁村は総たん白質, 動物性たん白質が多量摂取され, 不足の栄養素はV. AとV. B2である。山・農村はかなり改善されたものの, まだ動物性たん白質, 脂質, V. A, V. B1およびV. B2, さらに山村のカルシウムが充足されず, 栄養素摂取上の生活環境別の差異が明瞭であった。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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