栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ラット肝臓コリン脱水素酵素
臓器・細胞内分布, 可溶化および安定化法
柘植 治人大西 英治二村 芳弘中野 雄司大橋 一二
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1980 年 33 巻 3 号 p. 143-150

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抄録

コリン代謝上の問題点を解明する目的で, 酸化分解系の初発酵素, コリン脱水素酵素 (EC 1. 1. 99. 1) の3ヵ月齢ラットにおける臓器分布, 細胞内顆粒局在性, および, その可溶化と可溶化酵素の安定化法を検討した。
1) コリン脱水素酵素は肝および腎臓にのみ存在し, ミトコンドリアに結合し, 通常の細胞破砕の条件では容易に漏出しないことを確かめた。また, 両臓器における比活性は同程度であるが, 総活性の80%は肝臓に存在した。
2) 可溶化の方法として, 超音波処理後, 2% TritonX-100でかくはん抽出する方法を採用し, 可溶化率約50%の結果を得た。
3) 可溶化酵素はTriton X-100を含まない溶液中で容易に失活する。失活を防止する目的で, 総たん白質量に対し1/15のジチオビスニトロ安息香酸 (DTNB) を添加し, 化学修飾した酵素標品は溶液中で安定で, かつ, 通常の酸素電極法で活性測定できることを明らかにした。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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