栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
白ネズミにおけるたん白欠乏からの回復期における血漿・肝臓・筋肉中の遊離アミノ酸濃度の変化に及ぼすたん白質の影響
宮岡 洋子水上 戴子堀川 蘭子
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 33 巻 5 号 p. 317-325

詳細
抄録

たん白欠乏状態の白ネズミに3種類の質の異なるたん白食 (10%カゼイン食, 10%アルブミン食, 20%グルテン食) を投与し, たん白欠乏からの回復途次の動物の血漿, 肝臓, 筋肉中のFAAパターンおよび各組織FAA濃度/血漿FAA濃度比の動態について検討した。その結果, つぎのことが明らかとなった。
1) 血漿・肝臓のFAAパターンは, RC群では5~7日ごろにC群パターンに回復したが, RA・RG群では (RG群の血漿を除き) それぞれ特有のパターンを示した。また, 筋肉のFAAパターンは3群ともC群パターンとは異なった。
2) 肝臓EAA濃度/血漿EAA濃度比は, たん白欠乏時ほとんど変化しなかったが, たん白欠乏からの回復途次にはかなり変動がみられ, とくに分岐鎖アミノ酸では特徴的な変化がみられた. すなわち, RC・RA群では回復3日まで急上昇し, その後低下したのに対し, RG群では回復途次上昇傾向がみられた。この濃度比の変化は, 肝臓のprotein/DNA比の変化と類似していた。
3) 筋肉EAA濃度/血漿EAA濃度比は, たん白欠乏時およびその回復途次に大きな変化を示さなかった。一方, NEAAの濃度比はたん白欠乏時低下し, とくにAsp, Ala, Glu, Glyではその低下が著しかったが, 回復3日ごろまでにはC群の値に回復し, その後一定した。このNEAAの濃度比の変化は, 筋肉のprotein/DNA比の変化とほぼ一致した。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top