低たん白栄養状態を修復する機構がどのように作動しているかということを知る手がかりとして, 尿素量とアルギナーゼ活性について臓器相関性から検討したところ, つぎのような結果を得た。
2%カゼイン低たん白食で飼育したラットの血中, 肝臓中の尿素量はともに, 飼育日数の経過とともにその値が減少し, 飼育日数14日目まで著明な変化がみられた。一方, アルギナーゼ活性も臓器中の尿素量と類似した変化を示し, 肝臓では活性低下, 腎臓では活性上昇が観察された。これに対して, 尿中に排泄される尿素量は, 2%カゼイン食摂取において劇的な変化を示し, 8日目以降では摂取前の約5%の値を維持していた。しかしながら, このような変動様式も絶食状態や必須アミノ酸の欠乏しているたん白食で飼育した場合に認められず, 生体はたん白摂取不足に対して, アミノ窒素代謝における調節機構を強く作動していることが示唆された。