栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
北海道内養護施設収容児の栄養摂取状態およびその評価に関する頭部および上腕計測値の有効性について
山東 せつ子
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1981 年 34 巻 2 号 p. 109-125

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抄録

年齢1~18歳の北海道内養護施設収容児1, 518名の1976年栄養調査結果のうち, おもに頭囲, 上腕囲, 皮下脂肪厚 (上腕および背部), 一般栄養素およびアミノ酸摂取量について検討した。
1) 頭囲は1歳児で18歳児の80%以上の大きさを占め, 男子は女子より大であった。
2) 上腕囲は加齢とともに増加したが性差は有意ではなかった。
3) 皮下脂肪は, 上腕, 背部ともに女子が男子よりすぐれ, 性差はそれぞれ6歳, 5歳以上の全年齢群で有意であった。
4) 上腕筋肉面は男子が女子にまさり, ことに13歳以上で差は著しく大であった。施設値はUSA値より低く, ことに12~14歳の中学生群で劣り, たん白摂取で不足していたと推論された。
5) 上腕脂肪面は女子が男子よりすぐれ, 性差は6歳以上で明らかであった。施設値はUSA値よりすぐれることから, 十分な熱量摂取があったと推論された。
6) 栄養素充足度では施設値は熱量, たん白, 鉄, ビタミンCで全国値より低く, 9歳以上群にカルシウム不足が, 幼児群にビタミンD不足が認められた。
7) アミノ酸スコアは100, 制限アミノ酸はスレオニンであった。
8) 以上の結果から, 上腕筋肉面および脂肪面を施設児の栄養状態判定に用いるためには, 基準値として日本人の上腕計測値が必要であるとの結論を得た。これは同じMongolianであるアジア地域の子供の栄養状態判定の基準値として利用されるものと考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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