1981 年 34 巻 3 号 p. 253-257
カドミウム投与量による生成metallothionein量と金属組成の変化, およびこれらの経時変化をラットの肝臓について検討した。
1) metallothionein画分中のカドミウムは6mg/kgまで投与量に応じて増加したが, 亜鉛は2mg/kgで最大に達したあと6mg/kgまで低下し, metallothionein量としては2mg/kgでブラトーに達してそれ以上の投与量でも増加しなかった。したがってカドミウムと亜鉛の比は6mg/kgまでほぼ投与量に応じて増加した。
2) 1mg/kg投与後の経時変化については投与後短時間においてはmetallothionein画分にカドミウムのみが検出され, 亜鉛はカドミウムが高分子画分から消失してから認められるようになった。したがってカドミウムと亜鉛の比は投与後短時間における高値から2日後の約0.5まで低下したが, その後徐々に増加して32日目には約0.8になった。
これらの結果からカドミウム投与によって生成するmetallothioneinのカドミウムと亜鉛の比は, カドミウムの投与量および投与後の時間に依存することが判明した。