栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
緑葉たん白質の新分離法
草類たん白質の栄養価に関する研究 (第26報)
保井 忠彦吉沢 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 34 巻 4 号 p. 303-307

詳細
抄録

緑葉から栄養価の高いたん白質を, 容易に, かつ高収量で分離する方法を検討し, 次の結果を得た。
1) ホウレンソウほか5種の緑葉を-20℃冷アセトン処して, クロロフィルを除いた供試試料 (ただし, スギの葉はさらに水抽出処理した供試試料) から0.5%SDSと0.5% 2-ME含有0.2% NaOH溶液を用いて, それらの純た白質はスギナ, スギの葉以外は80%以上抽出された。NaOH溶液濃度を1%に上昇させると, スギナ, スギの葉の純たん白質は75%抽出された。0.5% 2-MEの代わりに, 元剤として0.5% Na2S2O4も同程度のたん白質抽出効果があった。
2) 界面活性剤として, SDSの代わりに0.5%脂肪酸ナトリウム混合物 (牛脂より調製) を用いことにより, ホウレンソウとキャベツでは同程度のたん白質抽出効果があった。食飼料たん白質の分離, 調製に使用しうる可能性が示された。
3) 界面活性として用いた, 0.1%脂肪酸ナトリウム混合物, コール酸, デオキシコール酸, 各種のしょ糖脂肪酸エステルおよびレシチンはたん白質抽出のための補足効果はほ。
本報告の概要は第33回日本栄養・食糧学会大会 (昭和54年5月) において講演した。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top