インゲン豆, その他豆科植物種子中のアミラーゼ・インヒビターの分布の検索のため, ディスク電気泳動法による特異活性染色法を考案し, 約10ngのアミラーゼ Fig. 6. Sensitivity of the staining for amylase inhibitor activity in the presencc and absence of Ca2+. インヒビターを明瞭な活性バンドとして検出した。
1) インゲン豆に属するすべての種子からアミラーゼ・インヒビターを検出した。すなわち, 白花豆から2種その他のインゲン豆からそれぞれ1種のアミラーゼ・インヒビター画分を検出した。
2) これらアミラーゼ・インヒビターの泳動速度は, 豆類によって異なる。白花豆の2本のアミラーゼ・インヒビター (Ai-I, Ai-II) が最も速く, 白インゲン (大福) と金時のアミラーゼ・インヒビター (Ai-III) がやや遅れ, その他のインゲン豆類のアミラーゼ・インヒビター (Ai-IV) はさらにやや遅れた位置に泳動した。これらインゲン豆の違いによって検出される泳動速度の異なるアミラーゼ・インヒビター, さらに白花豆に見られる2種のインヒビターが, イソ・インヒビターとよびうるものかあるいは, グリコプロティンであるインヒビターの糖部分の差異によるものか, 阻害活性に違いがあるかどうかは今後検討を要する。
3) インゲン豆以外の豆科植物種子: ソラマメ, ダイズ, アズキ, ラッカセイ, グリンピース, きぬさやエンドウ, エビスグサ種子からは, アミラーゼ・インヒビター活性を検出しなかった。
4) アミラーゼ・インヒビターの活性染色法に対するEDTAの影響から, インゲン豆アミラーゼ・インヒビターは, カルシウムを結合した活性型のα-アミラーゼに強く結合し, カルシウムを除去した低活性のα-アミラーゼに対して合力が弱いことを示唆した。
5) インゲン豆のアミラーゼ・インヒビターは種子中にのみ存在し, しかも種子の発育のごく初期においてすでに種子中に生成されると考えられる。
本論文の要旨は, 第52回山口大学医学会 (昭和54年7月, 宇部), 第30回電気泳動学会春季大会 (昭和55年6月, 東京) において報告した
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