1981 年 34 巻 6 号 p. 555-563
たん白質としてカゼインと大豆たん白質を用い, コレステロール, コール酸ナトリウム添加食餌が血清リポたん白質および肝臓脂質におよぼす影響をラットで検討した。
1) スタンダード群の食餌組成をカゼイン20%, 大豆油5%, ビタミン1%, 塩混合4%, 塩化コリン0.2%でコーンスターチで100%とし, これに対してコントロール群として大豆油をラードに変え, コレステロール0.5%, コール酸ナトリウム0.3%を添加すると, 総コVステロールはVLDL, LDLで増加し, HDL2で低下した。
VLDLではApo Cが, HDL2ではApo E, Apo A-I, Apo Cが, またHDL3ではApo Eがそれぞれ減少した。
肝臓では総コレステロールとトリグリセライドの蓄積がみられた。
2) 血清, 肝臓とも総コレステロール濃度は, カゼイン20%群>カゼイン40%群>大豆たん白質20%群>大豆たん白質40%群となり, とくに大豆たん白質群ではトリグリセライドも低値を示した。血清リポたん白質のポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動では, カゼイン20%群に対してカゼイン40%群でpreβとβが減少し, α3とα1が増加した。また, 大豆たん白質群ではpreβ, β, α1が減少し, α3とα2が増加した。
3) カゼイン40%群ではHDL2でApo Cが増加傾向にあった。
以上, カゼインと大豆たん白質はリポたん白質代謝に異なる影響を与え, 高たん白質と大豆たん白質でコレステロールの低下効果が認められた。