抄録
「うるか」中の苦味物質と胆汁酸との関係を追究するため, 「うるか」中の胆汁酸を薄層クロマトグラフィー, ガスクロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリーによって分析し, また「うるか」から抽出した総胆汁酸画分について苦味に関する官能検査を行なって次の結果を得た。
1) 「うるか」中の胆汁酸成分としてコール酸およびタウロコール酸を同定した。
2) 「うるか」中にはコール酸が17.5×10-4M, タウロコール酸が5.5×10-4Mの濃度で含まれていた。
3) 鮎の新鮮胆 胆汁中にもタウロコール酸のほかコール酸が証明された。
4) 味覚に関する官能検査において, 「うるか」から抽出した総胆汁酸画分の苦味の弁別閾値はコール酸濃度 (遊離型: タウリン抱合型=17.5: 5.5, モル濃度比) として8×10-4M, 標準胆汁酸混合物 (同じ組成比) のそれは4×10-4Mであった。また, コール酸およびタウロコール酸については, それぞれ8×10-4Mおよび4×10-4Mであった。
5) 「うるか」の総胆汁酸画分の精製を進めると, それに従っで苦味が増強した。