栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
鎖長を異にする中鎖脂肪酸トリグリセリドを高濃度に含む飼料を与えたコレステロール負荷ラットの血漿および肝臓脂質組成
鵜飼 光子福場 博保
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1982 年 35 巻 6 号 p. 401-407

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抄録

炭素鎖長8, 10および12の飽和脂肪酸TGを合成しこれを唯一の脂肪源として40カロリー%含むChol負荷飼料でS. D. 系雄ラットを飼育し, 血漿, 肝および脂肪組織の各脂質組成に及ぼす効果を調べた。 コントロールは合成TGと同様にサフラワー油を唯一の脂肪源として投与した。
1) 1日あたりの体重増加量はC18: 2群に比べCF群ではほぼ同一の値になったが, 実験群はいずれも減少した。 実験群はいずれも実験食に順応するまでに数日を要し, このためFERは実験群でいずれもC18: 2群より有意に低下した。
2) 血漿TCおよびFC値は実験群で著しく高い値を示しまた, HDL-Chol値は実験群で著しく低下し, いずれもC18: 2群との間に有意差が認められた。
3) 血漿PLおよびTGとも実験群は高い値を示し, C18: 2群との間に有意差が認められた。
4) 肝臓においては実験群はいずれもC18: 2群に比べ総脂質量は低く, Chol量は高くなり, 同群との間にいずれも有意差が認められた。
以上の結果から, 高濃度で投与した場合にはC8: 0, C10: 0およびC12: 0という炭素鎖長の違った飽和酸を単一脂肪酸とするTGはいずれの鎖長のTGの投与によっても脂質組成は一律に変化することが示された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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