栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
食品のビタミンに及ぼす各種金屬イオンの影響
第1報人參のカルチン分解効果
後藤 たへ有井 昌子
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1954 年 6 巻 5 号 p. 213-217

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抄録

種々の鹽類の溶液 (金屬イオンの濃度1mg/100ccを用いて人参のカロチン分解に對する金屬イオンの効果の實驗を行つた。Cu+2イオン, Zn+2イオン及びCO+2イオンは出來るだけ細くきざんだ人參をその中で20分間煮沸しても何等えいきようを及ぼさないことがわかつた。Fe+2イオンとPb+2イオンは煮沸した場合にカロチンを分解しMn+2イオンは煮沸しない場合でも分解することがわかつた。そして煮沸すればますますその効果がつよくなることがわかつた。鐵イオンを用いてしらべるとイオンの濃度が一定の場合にはカロチン分解は煮沸時間の長さに比例しておこり叉煮沸時間が一定の場合にはイオンの濃度に比例して分解がすすむことがわかつた。Na+イオン及びおそらくK+イオンはやはり煮沸下でカロチンを分解する金屬イオンと共存する對立イオンSO1-2イオン, C1-イオン, 及びNH4+イオンは人参カロチン分解に効果がないことがたしかめられた。それからNO3-イオンについても同様なことがいえると考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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