抄録
酸性白土は氣相においても液相においても強い吸着能をもち,吸濕劑,液體の脱色精製劑などとしての用途はよく知られており,それらに關する研究は少くない。1916年Seidalが醸造底面酵母からビタミンBを分離するに酸性白土を利用することを發表して以來多數の研究がなされ,今日ではビタミンB1の分離に酸性白土を利用することは常識的となり,定量分析法にも採用されている。また食品にビタミンB1を強化する際にその溶出損失を防ぐために酸性白土を利用する方法は著者などの研究室で研究した。しかしながら酸性白土によるビタミンB1の吸着の本質についてはほとんど知られておらず,それが應用上に大きな障害となつているので,著者らはこの點を解明しようとした。