栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ビタミンCの酸化に及ぼすビタミンB類及び塩化ソーダの影響
(第5報) ビタミンB6, B1及び塩化ソーダの影響
一瀬 義文
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1955 年 7 巻 6 号 p. 259-261

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抄録

(1) 合成l-アスコルビン酸及びキャベツに合成ビタミンB6, B1を加えて夫々之等を煮沸した場合には何れもB6だけの場合よりも残存率は大きく且B1の量の増加に伴い残存率も増加した。しかしB1だけを加えたものより却つて残存率は小さかつた。これは実験の結果少くともB6のためにB1の作用が阻害されたためとは思われなかつた。
(2) 合成l-AAに合成B6, B1及びNaClを加えて煮沸した場合にはB1l-AA: B1が1:1の比に加えたものは残存率は減少しその他の場合には何れもNaClの添加によつて残存率は増加した。この場合はNaClの添加によるpHの減少が残存率増加の一因と思われた。
(3) キャベツに合成B6, B1及びNaClを加えて煮沸した場合は前記C: B1が1: 1の場合もその他の場合と同様にNaClの添加によつて残存率が増加した。
(4) 前記 (2) のl-AA: B1が1:1の場合に残存率が減少した主な原因はNaClによるB1の阻害であり (3) の同様の場合に残存率が減少しなかつたのはキャベツの中の或成分によりNaClのB1に対する阻害作用が抑制されたためかと考えられた。
本研究費の一部は日本教育大学協会の科学奨励金によつた。ここに記して深謝の意を表する。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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