栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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ペーパークロマトグラフ法による大豆粒及びその発芽に伴う含有遊離アミノ酸の変化に関する研究
山田 晃松下 アヤ子
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1955 年 7 巻 6 号 p. 262-266

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抄録

大豆に含有される遊離のアミノ酸とその大豆を暗所で及び日光をあてて発芽させた場合の含有遊離アミノ酸の変化をペーバークロマトグラフ法でしらべた。
大豆中に遊離の形で存在するアミノ酸は種類が多く特にGlutamic acid, Alanine, Glucosamine, Glutamine, Leucine, Valineの量が多く, Aspartic acid, Arginine, Prolineがこれに次ぎ, Cystine, Homocystine, β-Alanine, Alanine, 不明物質A, B, Cは少くAsparagineは特に少い成分である。Methionine, Tryptophan, Valineはフェノールの場合もブタノール, 水, 氷酷酸の混合液の場合もRf値が近似しているので見分けにくい。AsparagineとGlycine, 及びLeucine, Isoleucine, Nor Leucine, の場合も同樣である。
大豆を暗所で発芽させてもやしにすると含有遊離アミノ酸の種類に変化を生じる。発芽前に較べて消失するアミノ酸はGlutamine, Glucosamine, 不明物質A, B, Cの5成分であり逆に出現するアミノ酸はThreonine, Tyrosine, Histidine, Serineの4成分であり著しく量の多くなるのはAsparagineである。含有遊離アミノ酸の中で量の多いのはAspamagine, Alanineであり特に量の少いのはCystine, Tyrosineである。
発芽後日光をうけて伸びた芽中の遊離のアミノ酸は茎に較べてその数が少くPhenylalanine, Proline, Tyrosine, Homocystineが消失しThreonine, Cystineは非常に少い成分になる。根の場合は茎の場合と大体同様である。
発芽粒子は日光をうけて緑色になるが含有される遊離のアミノ酸は元の大豆の場合と同樣ではなくアミノ酸の種類は暗所で発芽させたもやしの場合と同樣であるがその量はアミノ酸の種類によつて多少変動がみられる,
終りに臨み試料の大豆を分与して頂いた熊本県立農事試験場の工藤技師、常川氏並びに色々御援助を頂いた九谷教授の方々に御礼を申し上げる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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