日本栄養・食糧学会誌
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食品加工用素材としてのグリコシルスクロースの物性
北條 祥子
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1983 年 36 巻 2 号 p. 105-111

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抄録
カップリングシュガーは虫歯の発生を抑制する低う蝕性甘味料として期待されている。本研究ではカップリングシュガーをショ糖に代わる甘味料として食品に添加した場合の食品の物性におよぼす影響についての基礎的検討を行なった。
1) カップリングシュガーは水アメ状を呈すが麦芽糖水アメより粘性, 動的弾性とも小さく, ニュートン流動体に近い性質を示した。
2) カップリングシュガー添加によりショ糖添加時と同様に卵アルブミンの熱変性温度およびじゃがいもデンプンの糊化温度が上昇した。この作用は添加濃度依存性で添加濃度が高くなるほど温度上昇率が高まった。
3) カップリングシュガー添加によりショ糖添加時よりデンプンゲルの硬さ, そしゃく性, 粘調性, 凝集性, 付着性が増加した。
4) カップリングシュガー添加によりショ糖添加時より卵アルブミン溶液の起泡性, 泡の安定性が高まった。
5) カップリングシュガーはショ糖よりカルメラ化反応は起こりにくいが, メイラード反応は生じやすかった。
以上の結果からカップリングシュガーは食品加工用素材としてもショ糖に劣らぬすぐれた特性を有し, 種々の食品加工に利用できるものと考えられる。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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