日本栄養・食糧学会誌
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Myrothecium verrucaria胞子のアスコルビン酸酸化酵素
舟木 淳子阿部 啓子本間 清一相田 浩
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1987 年 40 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

1) Myrothecium verrucaria IFO 4株, IAM 1株の計5株について, 胞子の生成量が大でAsA酸化酵素活性の高い菌株をスクリーニングした結果, IAM5063を選択した。胞子はL-AsA, D-iso AsA両者をそれぞれ酸化したが, D-iso AsAに対する酸化能はL-AsAに対する酸化能の約1/10であった。
2) Myrothecium verrucariaの胞子のAsA酸化酵素をDEAE-Sephadex A-50クロマトグラフィー, Sepharose 6Bゲルクロマトグラフィー, CM-Sephadex C-50クロマトグラフィー操作により部分精製し, その比活性はSepharose 6Bの段階で約700倍に上昇した。
3) 本酵素の分子量は約38万ダルトンであった。また, 本酵素はL-AsAを酸化し, DHAを生成することが確認された。至適pHは6~7, 至適温度は30℃付近であった。また40℃以下では安定であった。
4) 本酵素はL-AsAは酸化するが, D-iso AsAは酸化しなかった。またD-iso AsAの添加によりAsA酸化酵素活性が阻害され, その阻害様式は非拮抗阻害であった。
5) 本酵素はジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム, フェニルチオ尿素, 8-ハイドロキシキノリンおよびアザイドに阻害されなかったが, Cu2+を10-4M添加することで活性が5.7倍に上昇し, 本酵素の活性に対しCu2+が大きな影響をもっていることがわかった。

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