日本栄養・食糧学会誌
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ラットにおける飼料中タンパク質およびミネラルの利用性に対するオキアミキチンの影響
オキアミキチンの食物繊維としての栄養的特性について (第2報)
桑野 和民酒巻 千波三田村 敏男吉田 勉
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1987 年 40 巻 3 号 p. 213-219

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抄録
オキアミキチンの食物繊維としての特性を知るために, オキアミキチンの他, イセエビキチン, セルロースを5%レベルで加えた精製飼料 (カゼイン10%) 3種を調製し, 成長期のラットを用いてタンパク質およびミネラル (Ca, Mg, P) の利用性に対する影響を検討した。
3種の食物繊維の水中沈定体積 (SV) は, オキアミキチンが36.0ml/g, イセエビキチンが12.0ml/g, セルロースが5.9ml/gであった。
net protein ratioに対する影響ならびに飼料中窒素 (キチン態窒素を除く) の体内保留率を調べた結果, 各食物繊維による差は認められなかった。
Ca, Mg, Pの出納試験の結果, 各ミネラルの利用性は, セルロース区が最もよく, 次いでイセエビキチン区であり, オキアミキチン区が最も劣っていることがわかった。この出納試験の結果とSVの対数との関係を検討したところ, 強い相関 (|r|=0.707~0.943, p<0.01) が認められた。また, 出納試験ほど顕著ではなかったが, 骨分析の結果でも似た傾向が示された。これらのことから, ミネラルの生体利用性への影響は, SVのような物理的性質によるところが大きいと考えられた。
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