日本栄養・食糧学会誌
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卵白食, 卵白酵素分解物または遊離アミノ酸混合食を投与した幼若ラットの成長の比較
柴田 克己鈴木 徹岩井 和夫
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1987 年 40 巻 4 号 p. 279-285

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抄録

卵白 (EW) をRhizopus属の酸性プロテアーゼにより, 種々の時間分解したペプチドを調製し, その栄養価を幼若ラットの成長から求めた。EW酵素分解物中では, 分解率が最も高い低分子ペプチドであるEWP-5が最も栄養価が高かった。また, EWP-5の栄養価は未消化体であるEWおよびEWのアミノ酸組成に相当するアミノ酸混合よりも高かった。アミノ酸混合食群の血中アルカリホスファターゼ活性は, EW食群の値より有意に高い値を示し肝機能に支障をきたしている可能性が示唆されたが, 低分子ペプチドであるEWP-5食群では認められなかった。一般的によく使用されている精製全卵タンパク質, カゼイン, 分離大豆タンパク質, EWおよびEWP-5の栄養価を比較した結果, EWP-5食群の体重増加量は, 分離大豆タンパク質, カゼインおよびEW食群よりも有意に高く, 精製全卵タンパク質群とほぼ同じ値を示した。EWP-5の第一制限アミノ酸はTrpであるが, Trpの添加効果は認められなかった。以上のことから, 低分子ペプチドであるEWP-5は未消化体であるEW, もしくはアミノ酸混合食よりも良好な窒素源であると考えられる。

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