日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
ラットのコレステロール代謝に及ぼす米ヌカヘミセルロースの影響
青江 誠一郎太田 冨貴雄綾野 雄幸
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 1 号 p. 55-61

詳細
抄録

脱脂米ヌカから抽出, 分離したヘミセルロース標品 (RBH) による血清コレステロール上昇抑制の作用発現機構について, 高メトキシルペクチン (HMP) の作用機構と比較することにより, 検討した。コレステロール1%, コール酸ナトリウム0.25%を含む高コレステロール飼料に, RBHおよびHMPをそれぞれ2%レベル添加した飼料をラットに投与し, 9日間飼育した。
RBHとHMPは, いずれもラットの血清コレステロールの上昇抑制を示したが, コレステロール吸収率, 肝臓コレステロールの蓄積率, 糞中へのステロールの排泄量の成績から, その作用機構は異なると考えられる。1) RBHは, 外因性コレステロールの吸収を阻害せず, 肝臓コレステロールの蓄積を抑制しなかった。RBHにより中性ステロールの排泄も促進されず, 酸性ステロールの排泄のみが促進された。したがって, RBHは, 胆汁酸の排泄を促進することにより, 結果として, 血清コレステロールの上昇を抑制すると推定した。2) HMPは, 外因性コレステロールの吸収を阻害することにより, 中性ステロールの排泄を促進し, 血清ならびに肝臓コレステロール値の上昇を抑制することが確認された。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top