日本栄養・食糧学会誌
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油脂の酸化生成物によるトコフェロール, アミノ酸およびアスコルビン酸の分解
梶本 五郎生田 啓一吉田 弘美芝原 章
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1989 年 42 巻 2 号 p. 185-190

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抄録
分別法を異にする方法で加熱大豆油から得た酸化酸 (OFA, 石油ェーテル不溶性の酸化脂肪酸) と脂肪酸重合物ならびにその二次酸化生成物 (SP, カラムクロマトグラフィーで分別) の性質および栄養成分の分解作用について比較した。
1) OFAとSPのCOVは46.7および53.5, An. Vは562.0および640.6で, 両値ともSPのほうがわずかに高い。ペルオキシド, ェポキシド, アルデヒド, α-ケト酸の呈色反応はOFA, SPともに陽性であった。OFAおよびSPによりスーパーオキシドが発生した。
2) TocとOFAおよびSPの1%添加混合物を60および20±2℃に保存した。60℃, 4日目でTocの残存率はOFAの場合32.0%, SPで27%であった。
3) OFAの添加量が増すにしたがいアミノ酸は多く分解した。用いたアミノ酸中では, Cysが最も分解されやすく, ついで, His, Trpの順であった。SPとOFAとでは, SPよりもOFAのほうがアミノ酸の分解率がやや高い傾向にあった。
4) OFAの添加量が増すにしたがいアスコルビン酸の分解率も高くなった。アスコルビン酸に対するSPの作用はOFAとほぼ同程度であった。
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