日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
魚油とコーン油の配合比率を異にした油脂を投与したラットの脂肪酸組成
滝田 聖親早川 享志中村 カホル福富 麻子印南 敏
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 3 号 p. 227-234

詳細
抄録
魚油とコーン油の配合割合の異なる飼料をラットに投与した場合の血漿, 血小板, 肝臓, 睾丸および副睾丸周辺脂肪組織の脂質代謝変動を中心に検討し, 次の結果を得た。
1) 血漿TCは魚油の配合割合が上昇するにつれて低下を示した。一方, 血漿TGとPLは, 魚油とコーン油の割合が異なっても各群間に有意差を認めなかった。
2) 肝臓のTCとPLは, コーン油の配合割合が増加すると低下することが認められた。TGレベルは魚油とコーン油の配合割合が異なるにもかかわらず各群間で有意な差は認められなかった。
3) 血漿と肝臓の脂肪酸組成は, 魚油の配合割合が減少するにつれてC20: 5とC22: 6は低下し, コーン油の割合が高まるにつれてC18: 2とC20: 4は上昇を示した。血小板では魚油の配合割合が50~100%でC18: 2の割合は高く, C20: 4の割合は低かった。50%未満ではC18: 2は減少, C20: 4は上昇を示した。睾丸ではn-6系PUFAのC20: 4とC22: 5が他の組織に比して高値を示した。脂肪組織では, コーン油の配合割合が高まるにつれてC18: 2が著しく上昇した。各組織のC20: 5/C20: 4比は飼料脂質の魚油の配合割合が減少するにつれて低下を示した。
4) C20: 4/C18: 2比は組織によって異なり, また, 魚油とコーン油のそれぞれの配合割合によっても異なることが認められた。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top