日本栄養・食糧学会誌
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若年女性におけるカリウム負荷の血圧ならびに脂質・糖質代謝に及ぼす影響
伊藤 和枝川崎 晃一上園 慶子
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1990 年 43 巻 4 号 p. 241-245

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抄録

健康な若年女性9名を対象に基準食 (C食: NaCl 10g/日, K 2.5g/日), 高K食 (K食: 基準食+KCl 48meq (Kとして1.9g/日) の2種の食事を10日間摂取してもらい, 血圧ならびにその関連因子と脂質, 糖質代謝に及ぼすKの影響をおのおの卵胞期で検討した。
1) Naの尿中排泄量は食間に差はなく, Kの尿中排泄量はK食でC食の約1.5倍と有意に大であった。
2) 収縮期血圧はK食で有意に低値を示したが, 拡張期血圧に差は認められなかった。
3) 血漿レニン活性はC食に比してK食で有意に低下した。血漿アルドステロン濃度はK食で有意に増加した。また尿中アルドステロン排泄量, カリクレイン排泄量もK食で有意に増加した。
4) 血清KならびにMg濃度はC食に比してK食で高い傾向を示した。
5) 血清総コレステロールならびに中性脂肪はK食で有意に低下した。HDL-コレステロールに変化はみられなかった。血清総コレステロール/HDL-コレステロール比はC食に比べK食で有意に低値を示した。
6) 血清インスリン濃度はK食で有意に増加した。血清グルコースはC食に比しK食で低い傾向を示したが有意差はなかった。
以上の結果からK負荷による血圧ならびに血清脂質の低下が示唆された。

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