日本栄養・食糧学会誌
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植物油脂中のトコフェロールの熱分解に対する没食子酸, 大豆レシチン, あるいはカテキンとアスコルビン酸との混合物の効果
梶本 五郎柴田 真理子嘉ノ海 有紀吉田 弘美芝原 章
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1991 年 44 巻 1 号 p. 45-50

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抄録
油脂中のトコフェロール (Toc) の熱分解に対する没食子酸, 大豆レシチンおよびカテキンとアスコルビルステアレート (As. S) ならびにパルミテート (As. P) の併用効果について検討した。
1) オリーブ油中のTocの熱分解に対し, As. SやAs. Pの0.1%添加では防止効果は認められないが, 0.3%以上でわずかに防止効果を示した。As. SとAs. Pでは, ほとんど同程度の防止効果であった。
2) 没食子酸単一添加に比べ, 没食子酸とAs. Sとの併用のほうがTocの熱分解をより多く防止した。いわゆる没食子酸によるTocの熱分解防止にAs. Sが相乗効果を示した。
3) 没食子酸添加油の加熱による油脂の着色は, 0.1% As. S添加でわずかながら防止した。しかし, As. S0.4%以上の添加では油脂の着色度は増加した。加熱後の油脂の酸化安定性は, 没食子酸ならびに没食子酸とAs. Sとの併用により著しく高められた。
4) 大豆油, 硬化なたね油中のTocの熱分解防止, ならびに油脂の熱酸化防止, 加熱後の油脂の酸化安定性に対しても没食子酸単一添加よりも没食子酸とAs. Sの併用添加のほうが効果は大きい。
5) 大豆レシチンやカテキンとAs. S併用による大豆油, オリーブ油およびなたね油中のTocの熱分解防止効果は, それぞれの単一添加よりも大きく, また, 油脂の熱酸化度も低い。
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