日本栄養・食糧学会誌
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腸内常在細菌のパラチノース, パラチノース縮重合物, トレハルロースおよび還元パラチノースの資化性について
樫村 淳藤沢 倫彦中島 良和西尾 弘二光岡 知足
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1991 年 44 巻 1 号 p. 54-59

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抄録
ヒトの腸内常在菌菌110株によるパラチノース, トレハルロース, バラチノース縮重合物 (PC), 還元バラチノース (GPS, GPM) の資化性試験を行った。パラチノースはB. bifidumを除くBifidobacterium属の菌株に良好に利用されたが, 他のいくつかの菌属の菌株にも良好に利用された。トレハルロースの資化性バターンはバラチノースの資化性バターンと非常に似たパターンを示した。PCはBifidobacterium属の菌株に良好に利用されたが, 他の属の菌株でPCを良好に利用した菌株は1株もなく, Lactobacillus, Bacteroides, Clostridium属の一部の菌株が微陽性 (±) であった以外すべての菌株で陰性 (-) であった。還元バラチノースは他の糖アルコールと同様に比較的資化されにくい糖であった。本実験の結果はPCがBifidobacterium属の菌株にのみ利用されるオリゴ糖であること, また以前われわれが報告したPCを含んだキャンディをヒトに投与した場合における腸内フローラ中のビフィズス菌の選択的, かつ有意な増加はPCがBifidobacterium属の菌株にのみ利用されたためであることを示した。
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