日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
農村住民におけるビタミンB1強化米長期投与の効果
城田 知子安武 律北野 隆雄二塚 信西野 幸典糸川 嘉則
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 44 巻 6 号 p. 429-435

詳細
抄録
糖質摂取量が比較的多い農業従事者のビタミンB1摂取量を把握するとともに, B1強化米を長期間 (6カ月間) 投与し, 血中B1値, トランスケトラーゼ活性などの測定によりその改善効果を検討した。
1) 調理損耗を見込んだB1摂取量は, 男0.67±0.20mg, 女0.60±0.21mgで, 摂取率 (摂取量/所要量×100) は, 72.2±25.7%, 89.5±30.8%であった。
2) 血中B1値は, 投与前23.3±5.8ng/mlが, 投与後は42.5±7.9ng/mlと改善された。
3) 血中B1値の投与前後の変化率は, 192±70%で, 変化率を高, 中, 低の3区分ごとに食事摂取内容をみると高率群において体重当り米摂取量, 穀類エネルギー比, 糖質エネルギー比が有意に高く, タンパク質エネルギー比は有意に低値であった。
4) 血中B1値とタンパク質摂取量, Ca摂取量に正相関, また男においてアルコール摂取量と負相関, 女では糖質エネルギー比に負相関が認められた。
5) 血中B1変化率別にみた食事内容から, とくに米摂取量が多く, タンパク質エネルギー比の低いグループにB1強化米投与の有効性を確認した。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
次の記事
feedback
Top